わが愛すべきゲーム自分史(13)1985年・13歳 ~ 読むRPG「ゲームブック」 ~
今から書くテーマはデジタルゲームではないのだが、その系譜に連なるので、この自分史の中で書くことにする。
1985年前後、日本では「ゲームブック」がブームになり、本屋では平積みのベストセラーが多く出版された。日本の作家による作品もあったが、人気の作品は洋書の翻訳ものが多かった。
そして、私が通った中学校でも、多くの男子が回し読みするブームが訪れた。中には、普段全く勉強しないのに、日本語版の出版日が待ちきれず、洋書を買って辞書片手に読む人まで出るほどだった。
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Wikipediaの受け売りになってしまうが、ここでロールプレイングゲーム(RPG)の歴史を少しおさらいする。
まず、1974年にアメリカで製作・販売された「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が世界最古のRPGと言われている。これは、複数の人間が筆記用具やサイコロを用いて対話型で進める形式で、欧米では人気だったが、日本では面倒くささもあってあまり流行しなかった。
この面倒さを回避する仕組みが大きく2つに分岐したのだが、ひとつは、一般向けにも少しづつ普及した8ビットパソコンを使ったゲームで、「ウィザードリィ」「ウルティマ」「ブラックオニキス」などのRPGが好まれた。しかし、当時のパソコンはまだまだ高価で「大人の嗜み」というイメージが強かった。理解ある親のもとでなければ、子どもが触れる環境にはなかったと思う(両親ともにメカ音痴だった我が家のように)。
そしてもうひとつの分岐が、サイコロや筆記用具の要素をすべて本の中に押し込んだ「読むRPG」としてのゲームブックだった。1冊を300~1000のパラグラフに分解してストーリーを複数用意し、ゴールもバッドエンドも体験できる仕組みはとても斬新だった。また、一部の作品を除き、主人公の名前を用意せず「あなた」と表現することで、読者を冒険の主人公にさせて没入感を高める仕組みも秀逸だった。
1986年の「ドラゴンクエスト」発売によって日本でも本格的にRPGが認知されるのだが、その前史については、ゲームの解説本でもパソコンRPG関連の記述しかしていないものが多い。しかし、日本のRPG人気の下地になったのは、むしろゲームブックであったと私は思っている。
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ゲームブックのブームを牽引した「ファイティングファンタジー」シリーズは、日本では社会思想社が1984年に日本語版を発売し、その後10年くらいの間新刊が発行された。ただ、最も完成度が高く、私自身も傑作だと思っているのは最初期の作品だった。
ja.wikipedia.org● バルサスの要塞(社会思想社)
また、別の出版社から発行された「ソーサリー」は全4巻に及ぶ超大作で、これもお勧め。
● ソーサリー(東京創元社)
これらの作品は、2000年代になって別の出版社から再販されているが、これも絶版になったようだ。
また、ここでは詳しい紹介を省略するが、日本人の作品でも「ドルアーガの塔・三部作」「ネバーランドのリンゴ」などの名作がある。
ネットを見ると中古本は出回っているが、プレミア価格になっていて簡単には手が伸びない。30代以下でゲームブック自体を知らない人がいたら、ブックオフで見つけたときに買うのをお勧めします。ゲーム好きなら絶対にハマるはず。